第12回 メリー・モナークとワールドカップ '02.7.10 |
日本を席巻したサッカーワールドカップも先月で幕を閉じた。前回のフランス大会から4年、日本代表チームは目覚しい成長を遂げた。ひとえに代表が世界を体感し、選手一人ひとりが努力・鍛錬した賜物であろう。 さて、フラの世界においてもワールドカップのように大いに盛り上がる大会がある。 「メリー・モナーク・フラ・フェスティバル」だ。 「メリー・モナーク」は毎年4月にハワイ島・ヒロにて開催される、最も長い伝統と権威を誇るフラの大会で、今年で39回目を迎えた。 ”メリー・モナーク”とは陽気なハワイ国王として親しまれていた「キング・カラカウア」の愛称である。 本大会は、その「メリー・モナーク」を冠にし、39年前に衰退しかけていた「フラ」の復興を目指し、ジョージ・ナオペ氏が創設し、ドロシー・S・シンプソン女史が手がけて現在に至っている。 ある意味、ハワイ文化の集大成だといえよう。 僕が「メリー ・モナーク」を視察するようになって15回目位になるだろうか。 最初の頃と比べると、随分「メリー・モナーク」も様変わりした。本大会を見始めた頃は、とてもダイナミックでエキサイティングであった。些細なミスがあっても、パワーあふれる踊りであれば、上位入賞を果たしていたものである。 最近はどうかというと「フォーメーション」重視というか、統率のとれた一糸乱れぬダンスという傾向が強くなっている。 それは非常に整然として美しいが、その分、「野性味に欠ける」とも言えなくもない。どちらがいいとか悪いとかではない。 「メリー・モナーク」も時代と共に変化しているということだ。 「メリー・モナーク」についてはその功罪がいろいろとハワイでも言われている。フラにシンクロやブロードウェイ調の演出が取り入れられ、本来のフラの精神が失われているとか、チケットが手に入らなくなったとか、大会が巨大となり、多くのお金が動くイベントと化してしまったなど、枚挙にいとまがない。 では「メリー・モナーク」は非難の対象でしかないのだろうか。 「メリー・モナーク」はあくまで「競技大会」であり、それに優勝するために各ハラウ(フラの教室)は、様々なテクニックを取り入れてしのぎを削っている。技を競う大会であるから、テクニック重視になるのはやむをえない。エンタテインメント的には当然のあり方だ。僕は「競技大会」とはそのようなものだと思う。 「メリー・モナーク」がハワイにもたらした経済効果も大変高い。毎年4月にヒロの街は本大会を見に来る人でホテルはいっぱいになるし、大会はTVでハワイ全土に放映され、皆、TVに注目する。 メリー・モナークを目指して、多くの若い人たちがハラウに入門する訳だし、日本でフラを勉強している人たちにとってもメリー ・モナーク(もう一つ、キングカメハメハコンペティション)はあこがれのイベントだ。日本のフラはメリー ・モナークに多大な影響を受けているといっても過言ではない。 「メリー・モナーク」にかけるダンサーの執念というか、向上心は凄い。それだけに見ているものもそのダンスの美しさに圧倒される。 これからも「メリー ・モナーク」は人々を魅了していくことだろう。 サッカーワールドカップの盛り上がりを見てふと、メリー ・モナークが重なった。 |
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