第3回 ウクレレ新世代に期待する '00.7.02 |
今のウクレレブームは、過去のウクレレブームと比べて大きく違う点がある。 それは、今の若い人たちは、ウクレレをハワイアンの楽器という一面だけでとらえているのではなく、ウクレレでポップス、ウクレレでロック、ウクレレでアニメ主題歌など、ジャンルにとらわれずにウクレレで音楽を楽しもうとしていることだ。 以前のウクレレブームは、ハワイアンのブームであり、ハワイアンの伴奏楽器としてウクレレが注目された。そこが大きく違っている。 僕は、この傾向はとてもいいことだと思っている。なぜなら僕自身、ウクレレはハワイアンの伴奏楽器という観点だけでとらえるべきではないと思っているからだ。 ハワイアンを40年以上もやっている人が何を言い出すのかと思うかもしれないが、ウクレレはハワイアンを演奏するための民族楽器という範疇を超えた素晴らしい楽器であることを理解してもらいたい。 ウクレレは、リズムを刻み、コードを演奏し、メロディーも奏でられ、歌も歌える。しかも手軽で、その気になれば相当なハイテクニックな演奏技術を要する奥の深い楽器である。ハーブ・オータ氏の演奏するウクレレを聞けばその点は一目瞭然だろう。 若い人たちのウクレレの活動といえば、「ウクレレアフタヌーン」について語らなければならない。「ウクレレアフタヌーン」はアマチュアのウクレレアンサンブル集団だが、僕は今から8年程前にこのグループに会っている。 僕が企画したウクレレのイベントに参加してもらったのだが、当時は、正直、人に聞いてもらうというよりまあ、皆さんが楽しければそれでいいんじゃないんですかというレベルだった。 ファッションも各自、個性的だけど全体としては統一されていなくて、見た目・インパクト重視というものだった。 ところが昨年(1999)の6月に日本ウクレレ協会(NUA)の40周年記念パーティーに彼らが招かれて、その演奏を聞いた時には驚いた。アンサンブルは実によくまとまっているし、演奏も堂々としている。何よりも驚いたのはウクレレで「テキーラ」や「メロンの気持ち」「雨に濡れても」などハワイアン以外の曲をウクレレで次々と演奏したことだ。 そういう楽曲をウクレレのアンサンブルで演奏するという発想は、「ウクレレはハワイアンだけではない」と頭では思っていてもハワイアンにどっぷりつかりきった僕なんかからは出てこない。彼らの演奏については、NUAのパーティー出席者の中に「なんだ、ハワイアンじゃないのか」という冷ややかな反応があったように見受けられたが、僕は、彼らがウクレレの可能性を見事に表現してくれたと思っている。 ウクレレアフタヌーンは、その後も表参道の「CAY」のライブ(ビデオで見たよ。望月君・織田島君)や八ヶ岳のウクレレイベント、そして東京の浜田山でウクレレファン140人あまりが集結した「サイバーウクレレジャム」などで活躍し、その勢いは今年もとどまるところを知らないようだ。 最近はウクレレアフタヌーン以外にも若い人たちがグループを組んで、ウクレレでライブ活動を行ったり、ウクレレで独自の音楽世界を構築するアーティストが登場するなどウクレレ新世代というべき人たちが現れてきている。 ハワイでもJOYやPUREHEARTなど新しい世代が出てきているが、僕は日本の若いウクレレ世代が彼らとひけをとるとは決して思っていない。日本のウクレレ新世代に期待し、応援していきたいと思う。
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