第4回 カマカはなぜ手に入りにくいのか '00.7.17 |
最近、ハワイに行ってもカマカウクレレを買うことができない、またはすごく値段が高くて驚いたという話を耳にする。日本で手に入らないのなら本場ハワイならあるだろうと行ってみたらなんとハワイでも手に入りづらい。それがカマカの現状である。 カマカは、ハワイで最も有名なウクレレメーカーで初代のサミュエル・カマカ氏が1916年に設立した由緒ある老舗のブランドである。ウクレレといえばカマカと言われるくらいのブランドだ。 ハワイの家庭ならカマカの1本位は少なくとも持っている程、浸透しているウクレレである。 そんなカマカがなぜハワイでも品薄なのか。一つには日本のウクレレブームの影響があるといえるだろう。日本のウクレレブームによりカマカが注目されて、どっとカマカのウクレレが売れるようになった。店としてはどんどんカマカを仕入れたいところだ。 しかし、カマカは通常の楽器ルートで約3年のバックオーダを抱えている。店が注文してもウクレレが来るのが3年後という状況だ。僕はカマカの正式なディストリビュータ(流通業者)で、カマカウクレレを取り扱える人間だが、97年に注文したウクレレが手元に来るのにやはり2年とちょっとかかっている。 店に納品されてもすぐに売れてしまうから、どこの楽器屋に行っても無いという事態に陥ってしまう。通常の楽器店ルートでこういう状態だから、楽器店ではないワイキキあたりのお土産店にカマカが回ってくることはまず無いといえるだろう。(あっても独自のルートでカマカをかき集めているから値段が非常に高い) カマカの工場に行って買い求めるという手もあるが、ここで売っているのは店に卸せない2級品(ちょっとキズがついているとか、そういうもの)だから必ず希望のものがあるかという保証は無い。毎日電話をして確認するしか手が無い。それでも買い求めてくる日本人が絶えないものだから、カマカの工場には日本人向けに販売方法の貼り紙をしている位である。 カマカウクレレが手には入らないせいか、カマカに関するよくない噂が流れているようだ。あえてここでそれらには触れないが、もはやカマカは没落の一途というたどっているような言われ方である。怖いのは、今の世の中、インターネットを通じて見た事・聞いた事がそのままウクレレのホームページや掲示板に掲載されて、さも真実かのように流布していくことである。 僕の見解を述べさせてもらえるなら、カマカは今でも優れたウクレレである。カマカの音やデザイン、最近のピカピカの鏡面仕上げなどが気に入らない人はいるだろう。だが、これは「悪い」のではなく、あくまで個人の「好み」の問題だ。 カマカを設立したサミュエル・カマカ氏はウクレレの創始者マヌエル・ヌネスの一番弟子で、カマカはハワイ最初のウクレレ「ヌネス・ウクレレ」の伝統を引き継ぎ、現在に至っている。 いわばカマカのウクレレはハワイの文化そのものと言ってもいい。 噂が本当であるならば、ハワイの人もカマカ自身もハワイそのものを否定することになる。 カマカはハワイそのものなのである。 |
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